ボーダレスでユニークなクリエイティビティで街を活性化する仕掛人。

アピールポイント
アートディレクター。株式会社ピクト 代表・アートディレクター。1993年株式会社ピクト設立。アーティストのビデオやCDジャケット、イベントポスターなど様々な作品を手がけ、海外の賞も多数受賞。水に入ったアートブック「Water Planet」を制作するなどボーダレスなデザインと向き合う。2006年「御堂筋アートグランプリ」の総合プロデュースを手がける。
プロフィール
■PROFILE
・1998 「朝比奈 隆/90歳記念コンサート」 CDジャケット
・1999 「宮沢和史 AFROSICK LIVE」 VIDEOジャケット
・2000 「東アジア競技大会2001OSAKA」 ポスター
・2000 「WATER PLANET」 水に入ったアートブック
・2001 「KIDS’ DREAM 2008」 出展/サントリーミュージアム
・2001 「アジアのグラフィックデザイン展」 出展/OCATホール
・2005 「松嶋尚美写真集 Color」 アートディレクション
・2006 「御堂筋アートグランプリ」 総合プロデュース
・2007 「水都大阪2009」 ロゴマークデザイン【主な受賞】
・1999 「ニューヨークフェスティバル」
インターナショナルプリントメディアコンペ銀賞
・2001 「ニューヨークADC」Merit受賞
・2001 「ニューヨークフェスティバル」
インターナショナルプリントメディアコンペ銀賞・銅賞
・2002 「ニューヨークADC」Distinctive Merit受賞 他
インタビュー

音楽・アート・デザイン・ダンス・ファッション…才能ある若いクリエイターたちを発掘し、大阪から新しいエンターテイメントを創出するビッグイベント「御堂筋アートグランプリ」(通称MAG)。この仕掛人こそ、今回紹介するヤマモトヒロユキだ。「ようやく大阪のクリエイターたちをバックアップする仕組み、ベースみたいなものができてきたかなって感じです」そうヤマモトは語りはじめる。「これまで大阪で行われてきたイベントのように、その日だけ盛り上がっていこうみたいな企画じゃ意味がない。やるからには大阪という土壌から何かを発信し、育んでいくような発信装置的な仕掛けを作り出さないと。『御堂筋アートグランプリ』の一日って言うのは、長いプロセスの中の最終日。一般公募の中で勝ち抜いてきたクリエイターたちのファイナルステージです。観客のみなさんに見えるのはたった1日かもしれないけど、クリエイティブの活動自体は予選からずっと続いているんです」。その言葉の通り、ヤマモトがこのイベントのプロデュースでどうしてもこだわった仕掛けが、一年を通じていろんなジャンルのアーティストがコンペティション形式で競い合うというスタイルだ。たとえば音楽の場合、一般公募してまず事務局で10数組をセレクト。その音楽をネット上にオープンに配信して一般投票をおこなう。そこで選ばれた5組がイベント前日に、今度はアメリカ村のライブハウスでライブをおこない、エーベックスやソニーなど各レコード会社担当者と事務局で審査をする。その勝者がファイナルステージとして、後日の『御堂筋アートグランプリ』でプロの有名なプロのミュージシャンと同じステージに立つという仕組みだ。


ヤマモトヒロユキのイベントプロデュースは、この仕掛けだけでは終わらない。たとえば『御堂筋アートグランプリ』の前身である2003年の『大阪ミナミ芸術祭』では、コシノヒロコや佐藤可士和などの著名クリエイターたちがデザインしたTシャツを缶に入れ、ピンクの自動販売機で販売し、街中の話題をさらった。また昨年の『御堂筋アートグランプリ』ではリリー・フランキーやgraf服部滋樹ら人気クリエイターたちがデザインしたアートパンツによるファッションショーを開催。今度は昔懐かしいガチャガチャを使って街中で販売した。このユニークなスタイルのアートグッズ・プロジェクトこそ、ヤマモトヒロユキのクリエイティビティの真骨頂である。そのエキセントリックな活動に、今やロンドンのファッション誌「ISSUE ONE」の編集長ポーラス氏も注目。何度も大阪を訪れてはヤマモトと親しく交流し、『御堂筋アートグランプリ』にも参加。また大阪と『御堂筋アートグランプリ』の記事を「ISSUE ONE」に掲載したほどだ。ヤマモト自身も「これからは、ロンドンをはじめ海外との交流も積極的に展開して、将来的には『御堂筋アートグランプリ』を大阪発の世界的なイベントに育てたい」とビジョンを語る。


そもそもヤマモトヒロユキとはどういう男なのか。ヤマモトヒロユキは、もともと平面の世界、すなわちグラフィックデザイン界のアートディレクターだ。これまでにもアーティストのCDジャケットや写真集、イベントポスターなどたくさんのグラフィック作品を手がけている。またクライアントありきのクリエイティブ・ワークだけではない。水の中に入ったアートブック「WATER PLANET」を自らデザイン&プロデュースし、海外で販売するなど、その創作活動は既存のグラフィックデザインの枠にはとらわれない。そんなヤマモトのクリエイティブは、もちろん海外での数々の受賞をするなど高い評価を受けているが、日本のグラフィック界ではどちらかと言えば異端児的存在と言っていい。いや、グラフィックデザイン界自体が彼のクリエイティビティをはかるものさしをもちあわせていないと言った方がいいだろう。しかし、大阪ミナミの街で遊び続けてきた男ヤマモトヒロユキのポップな笑いとエンターテインメント性にあふれたクリエイティビティこそ、大阪が世界に誇る大阪オリジナルなクリエイティブ・パワーの源流だとは言えないだろうか。


もちろんヤマモトヒロユキの仕事は、グラフィックの世界だけにはおさまらない。空間プロデュースから、イベントプロデュースまでその活躍のフィールドに境界はない。「本やポスターのデザインも、イベントも、空間プロデュースも、僕の中ではいっしょなんです」とヤマモトは語る。「クリエイターとして、何かをカタチ創っていくうえで、つねに遊んでいたい、楽しんでいたい。ビジネスとしてどうか以前に、自分が本当に楽しいかどうか。そこが大切。本当に自分自身がいいなと思えるものを世の中に創り出していけることが僕の一番の楽しみであり、生きがいでもある。それが、より自然な状態になっていくことを目標にしているんです。もっとわかりやすく言えば、遊びと仕事がいっしょになった状態、生きていること生活してること自体が仕事であり、遊びでありたい。それが僕にとっては一番心地よい状況なんです」。彼にとっては、生きることすべてがクリエイティブな楽しみなのだ。
テキストbyよしみかな





